003 オンライン動画は、テレビCMとは違う

You TubeのCMを全部観る人はいない

 You Tubeを再生しようとした時、冒頭にCMが流れるケースがある。スキップできるものならまだいい。中にはスキップできないものもある。この時、CMは完全に邪魔者だ。
 せっかくイメージを売ろうとしているCMなのに、最初から邪魔扱いされるのは、なんとも悲しい話しだ。テレビなら我慢できる。番組の合間に息抜きになる場合もあるし、気に入っているCMに出会うのは楽しいものだ。しかし、インターネット上では、ほとんどの場合、CMはスキップの対象となる。
 したがって、テレビCMのようなオンライン動画をつくるのは、あまり意味がなく、独自の基軸を打ち立てて企画することが大切なのである。そこには、宣伝を意識しつつエンターテインメントな要素を盛り込むことが必須の条件であると言える。

価値感覚を変換しないと生きていけない

 「宣伝とは、こういうものだ」「PRなんだから、こうすべきだ」という感覚を大切に持ち続けていても、今の時代、あまり得はない。従来のマスメディアと異なり、インターネット空間では、流れが一定方向ではない。必ずしも高い所から低い所に水が流れないのがインターネットの世界である。ターゲットを読み過ぎて誘導を誤ることもある。案外、ゆったりと構えて取り組む方が結果的に効果を生むこともある。
 これまでにトンパテレビとして様々な動画を配信してきた。USTREAMによる未編集の、事実を事実として伝えるものから、きっちりとしたシナリオを元に構成されたものまで、実に幅広く手がけてきた。しかし、ヒットの法則を見極めるのは難しい。時にはまったく手をかけず、たまたま撮った内容が多くの再生回数を記録したり、淡々とした内容のものがじわじわと観続けられたり、何ヶ月も低空飛行だったものが何かのきっかけで急に再生回数を伸ばしたり、と、インターネットは気まぐれである。このなんともつかみどころのない世界に身を置くためには、それまでの価値感覚をどこかで変換しないといけない。
 それは、専門家やアマチュアといった枠を取り払うことでもあると思っている。

オンライン動画の制作は、正直難しい

 テレビが消滅するとは思っていないが、現在、その一番の視聴者層がシニアであることを考えると、未来的にはテレビには今とは別の役割が与えられているのではないかと思う。
 20代が「最も重要であると考えているメディア」は、残念ながらすでにテレビではなくインターネットになっている。新聞の購読者も減っている。新聞を家庭で購読していない世帯には、折り込みチラシが届かないのである。アメリカのようにその大半が駅などのスタンド売りという環境と同じことが将来訪れた場合、折り込みチラシというメディアは消滅してしまうのかもしれない。
 メディアを取り巻く環境は大きく変化している。すでにラジオは四媒体の地位を追われているし、インターネットの広告費は、テレビに次いで第2位となっている。このメディアの発展性は、まだまだ残されている。オンライン動画は、その中でも最も有力なコンテンツのひとつである。
 この動画コンテンツ制作に対する考え方は、企業側にとってはまだまだ未知の領域となっている。先進的に活用して成果を挙げている企業もあるが、多くはまだ手探りである。それは致し方ない。動画制作には、かなりのエネルギーが必要になる。ポイントは、実はここにある。
 ホームページや企業ブログは、オウンドメディアとして企業内でも携わることができるようになった初のメディアである。つまり、テレビCMや新聞広告、PR誌などと異なり、つくっていることを実感できるようになった。「そうか、インターネット上のコンテンツは自分達でもつくれるんだ」と多くの人が考えはじめていた。しかし、そこに動画が登場した。ブログと同じように取り組もうと試みたが、思った以上に困難であることを実感した。せっかく、社内にホームページをつくる仕組みをつくったのに、これでは意味がない。そうした嘆きが聞こえてきそうである。
 実際に、動画制作の支援を行った企業において、「動画は自分達じゃ無理だね」とつぶやくトップもいた。
 オンライン動画の制作を社内で行うことも、もちろんできる。しかし、あまり内製化に固執することなく一部を担うくらいのスタンスが丁度いいように思う。社内でビデオカメラや編集ソフトを揃えるのは大変であるし、現在の担当者がそれに長けていたとしても次の担当者も同等のスキルを有しているとは限らない。専任でない限り、得意でない分野の業務は後回しになりがちである。
 だからこそ、動画制作にはパートナーが必要になるのである。それは、従来のビデオ制作会社ではなく、テレビCMの経験を踏まえてオンライン動画の特性を理解し、実際にディレクション経験があるトンパテレビのような立場が適任なのである。